【解説】建具表の書き方

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このページでは、建具表の書き方の基礎を学ぶことができます
60物件以上の建具表を作図した管理人が解説します

解説の前に

本記事は、建具の仕様解説がメインで、法規の解説ではございません
アルミ製建具と鋼製建具を例に解説を行います

注意事項

仕様はメーカーにより異なる為、製作可否は個別確認願います
コストは条件等により異なる為、あくまで参考程度と考えてください

CADデータについて

本記事で利用した建具表データは下記よりダウンロード可能です
ダウンロードはこちらから

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AW、AD、SD、SW、SSD、SSW、LSD、TB
\使用頻度の高い100窓番以上をまとめたCADデータ/

基本情報・共通事項

建具表_書き方_解説-共通事項

【A】窓種・数量・箇所

平面立面より数量と個所を拾い出す。下記は窓番表記方法。※記載方法は一例です

AW:アルミ製窓
SW:スチール製窓
SSW:ステンレス製窓
WW:木製窓

PW:樹脂製窓
GB:ガラスブロック
AG:アルミ製ガラリ
SG:スチール製ガラリ 

AD:アルミ製ドア
SD:スチール製ドア
SSD:ステンレス製ドア
LSD:軽量スチールドア
WD:木製ドア

PW:樹脂製ドア
GD:ガラスドア
NSD:鉛入ドア

AP:アルミパーティション
SP:スチールパーティション
SS(SH):シャッター
SLW:スライディングウォール
OSD:オーバースライダー
TB:トイレブース
ACW:アルミカーテンウォール
S:障子

memo

迷ったときは・・・
共通事項として凡例を付ける

【B】姿図

・姿図は内観図で表現
・WH寸法、腰高を記載(WH押えはサッシ内法)。CHも記載するとチェックに便利
・ドア等の勝手は表現不要。勝手違いは窓番をまとめる(平面図/キープランより確認可能な為)

アルミ製建具 窓(AW・AD)

建具表_書き方_解説_AW

【C】仕上

アルミサッシで一般的に使用される仕上は下記3種類
■陽極酸化塗装複合皮膜
主流の仕上。シルバー、ステンカラー、ブロンズ、ブラック、ホワイト等が選択でき、アルミ質感の残る処理。メーカーによりマット処理も有るが、コストに影響する為記載必要

※一般的にアルマイトと呼ばれる事も多いが同義ではなく、アルマイト=陽極酸化皮膜。一応( )で記載としておく
■ふっ素樹脂焼付塗装
自由に色を選択したい場合に採用。アルマイトより高価
■アクリル樹脂焼付塗装
焼付でふっ素より安価。耐候性に劣る為、室内や雨掛かり以外で採用を検討

【D】見込

70見込が主流。メーカー製品の多くも70見込。エントランス製品や高意匠製品は100見込の製品もあり

【E】ガラス

ガラス種類表記

※記載方法は一例

PG:ペアガラス
FL:フロートガラス(磨き)
PW:網入り磨きガラス
FW:網入り型ガラス

TP:強化ガラス
HS:倍強度ガラス
F :型ガラス

SG:すりガラス
Low-E(LE):Low-Eガラス
SRG:熱線反射ガラス

ガラス厚・空気層

ガラス厚は設計風圧力とサイズにより決定

■設計風圧力
告示1458号により計算。YKK APの風圧力算出ツールが便利

■ガラス厚
2mm  :建具には使用しない
3mm  :室内建具や木製建具、住宅サッシで使用されることが多い
4~6mm:使用頻度が高い
8mm~ :大開口で使用

※強化ガラスは4mm~、型ガラスは4mm/6mm、網入りガラスは6.8mmなので注意

■複層ガラスの空気層
6mm(A6)と12mm(A12)が一般的に使用される。空気層が厚い方が断熱性に優れる

■ガラス厚選定
NSGの検討ソフト、もしくは

NSG総合カタログ技術編P54「板ガラスの使用可能面積」早見表が便利

memo

ガラス選定に迷ったときは・・・
中低層物件の一般サッシであれば、単板は”FL6″、複層ガラスは”Low-E5+A12+FL5″を選択
※FL6:2000Paで2.25㎡以下 FL5+A12+FL5:2000Paで2.53㎡以下まで強度OK

【F】付属金物

コストに影響する物は記載必要下記が代表的な物
・網戸   :有無と材質。通常材質はPP。工場など”SUS”使用の場合は明記
・額縁   :木額の場合は”アングル”と記載。”アルミ額縁””スチール額縁”は明記。矩計等で表現でも可
・水切   :断面・矩計図から読み取りできない場合は、記載しておく
・沓摺   :有無を明記。室内等、”沓摺無し”と記載するとわかりやすい
・排煙部品 :ダンパーは隠ぺいか露出か。意匠にも影響

・押棒/引手:ユニオン製やロングタイプ等指定がある場合明記
・錠前   :有無を明記。テンキーなど特殊錠前を使用する場合明記

memo

付属金物記載方法で迷ったときは・・・
上記以外の一般的な金物は、コストに影響しないため”付属金物一式”と記載

【G】備考等

■AWの防火性能
防火設備:〇 特定防火設備:× 複合防火設備:×
■その他
・高意匠製品を使用の場合は、コストへ影響するため”製品名”同等と明記がベター
・遮音性能等、特別に求める性能は記載する

鋼製建具 片開きドア(SD)

SDを選択する理由は主に防火性、防犯性、耐衝撃性、遮音性能、意匠性、製作範囲等である

建具表_書き方_解説_SD

【H】仕上げ

■板厚
一般的に枠1.6t/扉1.2tを使用。また戸袋付防火戸等のサイズでは枠扉共に1.6t

■防火性能
枠1.6t/扉1.2tで防火設備・特定防火設備・複合防火設備ともに規定を満たす

■表面処理
・SOP塗装:主流。工場にて錆止(建具工事)+現場にてSOP塗装(塗装工事)
・DP塗装:SOPより耐候性が高い
・焼付塗装:現場塗装より高価になる為、あまり採用されない
・ダイノックシート貼:意匠性の求められる箇所で使用。現場にて貼付(内装工事)
・化粧鋼板:規格品の玄関扉等で選択可能

■枠形状(気密性能)
・ST(一般枠):気密性・水密性の必要ない箇所で使用。廊下-階段室等
・SAT(セミエアタイト):枠に気密ゴム(AT材)付。最も一般的に使用される
・PAT(パーフェクトエアタイト):気密ゴム+SUSエッジ材+グレモンハンドルで防音目的の使用が多い

ST枠_SAT枠_PAT枠_違い
memo

SDの仕上げで迷ったときは・・・
枠1.6t/扉1.2t SOP SAT”とする。多くのSDがこの仕様 

【I】見込

■扉
メーカーにより異なるが下記が目安となる(※DW:ドアW DT:ドア厚)
DW~1200:DT40
DW~1500:DT50
DW~2000:DT60
DW2000~:DT80

■枠 
壁厚+チリ10mmで計算ボード納まりでも最低80見込。常開防火戸は100見込必要

枠見込決め方_SD
memo

SDの枠見込で迷ったときは・・・
“扉:40 枠:壁厚による”と記載。メーカーに必要な扉厚と枠見込を選定してもらう

【J】付属金物

コストに影響する物は記載必要。下記が代表的な物
・額縁    :木額の場合は”アングル”と記載。スチール枠の場合は”3方枠”と記載
・水切    :矩計図から読み取りできない場合は、記載しておく
・沓摺    :有無を明記。室内など”沓摺無し”と
記載するとわかりやすい
・押棒/引手 :ユニオン製やロングタイプ等指定がある場合明記
・順位調整器 :両開きの場合有無を明記。安全の為つけておいた方が良い
・錠前    :有無を明記。特殊な錠前を使用する場合明記

memo

SDの付属金物記載方法で迷ったときは・・・
上記以外の一般的な金物は、コストに影響しないため”付属金物一式”と記載

軽量鋼製建具 片開きドア(LSD)

LSDは表面材に0.6mmや0.8mmの薄板を使用し、扉の芯にペーパーコア等を挟み込んだ軽量なSD。SDに比べ耐衝撃性、耐食性等が劣る為、主に内部間仕切りとして使用またSDと違い、製作範囲がある為注意

建具表_書き方_解説_LSD

【K】仕上げ

■スチール厚み
一般的な仕様は枠1.6t/扉0.6t

■防火性能
防火設備・特定防火設備:〇 複合防火設備:×
防火設備では芯材が水酸化アルミコア等となるが、メーカー仕様によるため記載必要なし

■表面処理
【枠】
・SOP塗装:工場にて錆止(建具工事)+現場にてSOP塗装(塗装工事)
・焼付塗装:塗装の種類はメーカー仕様によるため記載不要

【扉】
・化粧鋼板:メーカー指定色で単色や木目調など選択可能
・ダイノックシート貼:化粧鋼板で対応不可な色の場合。現場にて貼付(内装工事)

■枠形状(気密性能)
・ST(一般枠):気密の必要ない箇所で使用

・SAT(セミエアタイト):気密ゴム(AT材)付

ST枠_SAT枠違い_LSD
memo

LSDの仕上げで迷ったときは・・・
“枠:1.6t(SOP)扉:0.6t化粧鋼板”とする。多くのLSDがこの仕様 

【L】見込

■扉
通常DT40mm(一部メーカーの仕様は36mm)

■枠 
壁厚+チリ10mmで計算する

枠見込決め方LSD
memo

LSDの枠見込みで迷ったときは・・・
扉:40 枠:壁厚による”と記載。メーカーに必要な扉厚と枠見込を選定してもらう 

【M】付属金物

コストに影響する物は記載必要。下記が代表的な物
・沓摺:沓摺有無を明記する

・錠前:有無を明記する
・丁番かピポットヒンジか明記

memo

LSDの付属金物記載方法で迷ったときは・・・
上記以外の一般的な金物は、コストに影響しないため”付属金物一式”と記載

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